Gemini 3.6 Flashを触ってみた1日目の話

Googleが新しいGeminiモデルを3つ発表したというニュースを読んで、その日のうちに触ってみました。今回はベンチマークの数字を解説する記事というより、「実際に触った1日目の感触」を残しておく記事です。網羅的なレビューではなく、あくまで最初の印象だと思って読んでください。

何が発表されたのか

2026年7月21日、Googleは3つの新しいGeminiモデルを発表しました。

  • Gemini 3.6 Flash(主力モデル): コーディング・知識作業・マルチモーダル性能の強化版。Google発表によるコーディング系ベンチマーク(DeepSWE)で37%→49%、MLE Benchで49.7%→63.9%に向上したとされています。第三者測定機関Artificial Analysisの計測では、出力トークンの使用量が3.5 Flash比で17%削減されたとも紹介されています。価格は入力トークンが$1.50/100万トークンで据え置き、出力トークンが$9.00から$7.50/100万トークンへ値下げされました
  • Gemini 3.5 Flash-Lite(最速・最安モデル): 低レイテンシー・低コスト向けのモデル。Artificial Analysisの計測では秒間350出力トークンという速度が紹介されています
  • Gemini 3.5 Flash Cyber(サイバーセキュリティ特化): 脆弱性の検出・修正に特化したモデルで、CodeMenderという仕組みを通じて、政府機関と信頼できるパートナー向けに、限定アクセスのパイロットプログラムとして近日提供予定と発表されています

Googleが強調しているのは、単発のチャット性能ではなく「エージェント構築に必要なトークン効率・低レイテンシー・信頼できるパフォーマンス」。つまり、AIが延々とツールを呼び出し続ける前提での最適化を前面に出している発表でした。

触ってみた:速度は文句なし

今回はGeminiアプリ(gemini.google.com)から3.6 Flashを選んで使いました。まず最初に体感したのが速度でした。

3.5 Flashの頃は、「Flash」と名乗っている割には結構待たされるイメージがありました。ところが3.6 Flashは、目に見えて応答が速くなっています。ただしこれは、同じ条件で並べて計測したわけではなく、以前3.5 Flashを使っていたときの記憶との比較です。それでも、数字で示されたベンチマークうんぬんの前に、触った瞬間に分かるレベルの変化でした。

触ってみた:質の検証には、ちょっとした実験をした

速度は一目瞭然でしたが、質の方は一目では分かりません。そこで、普段Claude Codeに投げるような小さめの実装課題を、そのまま3.6 Flashにも投げてみることにしました。

お題は、人間が書きやすい時間表記("1h30m"のような形式)を秒数に変換するPythonのparse_durationという関数です。単位の組み合わせ、不正な入力のエラー処理に加えて、「同じ単位が2回出てきたら("1h1h"のように)どう扱うか、その理由も添えて」という、あえて仕様が曖昧な条件をつけました。

返ってきたコードとテストを実際に実行してみたところ、全件成功しました。指定したエッジケース(空文字・不正な単位・マイナスの数値・重複ユニット)もすべて処理できていました。重複ユニットの扱いについても、「足し算すると入力ミスか意図的な指定か区別がつかないので、エラーにするのが安全」という理由がちゃんと添えられていて、丸投げの仕様に対して自分なりの判断を下せていました。

聞いてみて分かったこと

ただ、1つだけ気になった点がありました。重複ユニットという曖昧な仕様には自分から理由付きで対処していたのに、同じくらい典型的な曖昧さである大文字小文字("1H30m"のようなケース)には、自分からは一切触れていなかったのです。テストコードにも含まれていませんでした。

そこで「大文字の場合はどう振る舞いますか?意図した設計ですか、それとも見落としですか?」と聞いてみました。

返ってきた答えは、「見落としでした」という率直な認め方でした。そのうえで、「人間向けの入力形式である以上、オートキャピタライズなどで意図せず大文字になるケースは多いので、大文字小文字を区別せず受け付けるべき」という理由を添えて、正しく修正したコードを出してきました(ちなみにm=ミリ、M=メガのように単位系によっては大文字小文字が意味を持つ場合があることにも触れたうえで、この文脈では衝突しないと確認してから結論づけていたのも、地味に丁寧なポイントでした)。

この一連のやり取りから見えたのは、**「指摘すれば正しく直せるし、理由もちゃんと説明できる。でも指摘するまでは、自分からは拾わない」**という質の傾向でした。

まだ使い倒してはいないので

速度は明らかに上がっている。質は、少なくとも今回の実験では「指摘すれば直せるが、網羅性は聞く側次第」という感触でした。これはあくまで1つの実装課題を投げてみた、最初の印象にすぎません。

正直、まだ全然使い倒せていません。ここからが本番だと思っているので、これからガンガン使い倒していこうと思います。